化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
材料工学,界面現象
非定常操作を考慮した水系塗膜の連続式熱風乾燥室モデル
今駒 博信相澤 英次大村 直人
著者情報
ジャーナル 認証あり

2008 年 34 巻 4 号 p. 463-470

詳細
抄録

単独揮発成分を含む塗膜に対する連続式熱風乾燥装置の乾燥室1室に着目して非定常操作を考慮してモデル化した.塗膜の乾燥モデルには乾燥応力による物質移動促進効果を考慮した高分子溶液塗膜に対する既往の「乾燥特性モデル」を利用し,ポリビニルアルコール水溶液塗膜を例として乾燥操作のシミュレーションを行った.計算条件の範囲内で以下の結論を得た.乾燥装置は一般に複数の乾燥室の直列接続で構成されることから,以下の結論も乾燥装置の設計に対して有効だろう.
乾燥室内の湿度の増加とともに定率乾燥期間の塗膜温度も大きく上昇する.滞留時間を大きくすることで出口含水率を著しく低下できる.外気湿度が増加すれば出口含水率も増加する.外気供給速度と装置壁の断熱性能が装置の省エネルギー性能に大きな影響を与えることから,滞留時間の増加が乾燥所要エネルギーの増大に与える影響は大きい.一方,非定常操作と外気供給速度の増加が出口含水率に与える影響は小さい.以上より省エネルギー性能を考慮した滞留時間の決定には,第1に装置壁の断熱性能,次いで外気湿度と外気供給速度を検討すべきことが示唆された.

著者関連情報
© 2008 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top