化学工学論文集
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エネルギー
感温性を有するメソポーラスシリカゲル/高分子ゲルの水蒸気吸脱着特性
市橋 利夫中野 義夫
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2008 年 34 巻 4 号 p. 471-476

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抄録

2 nm 付近に狭い細孔径分布を有するメソポーラスシリカゲルを溶媒揮発法により合成した.合成シリカゲルC12の細孔径は2.0 nm 以下であり,C18の細孔径は2.2 nmである.これらの合成シリカゲルの水蒸気に対する吸脱着の温度依存性を明らかにするとともに,有効吸着容量の評価を行った.C12およびC18合成シリカゲルは温度依存性のあるS字型の吸着等温線を示した.C12の水蒸気に対する有効吸着容量は,相対湿度Φ=0.29(303 K)とΦ=0.21(333 K)の範囲で0.11 kg-H2O/kg-silica gel という大きな値が得られた.C18合成シリカゲルに感温性高分子(NIPA: N-isopropylacrylamide)を導入したC18メソポーラスシリカゲル/高分子ゲルは,感温性高分子の性質が相転移温度(Tp=306 K)前後で親水性から疎水性へと不連続に変化するために,水蒸気の吸着量がドラスティックな変化を示すことがわかった.この感温性を有するメソポーラスシリカゲル/高分子ゲルの特性をデシカント空調システムに適用することにより,再生操作温度の一層の引き下げが期待される.

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© 2008 公益社団法人 化学工学会
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