2008 年 34 巻 4 号 p. 477-483
旋回気流層型石炭ガス化炉は,石炭から燃料ガスを得ると同時に,高温により灰分を溶融スラグ化するのが特徴である.スラグは炉内の旋回流によって炉壁に衝突して捕集されるが,一部は上昇流に同伴して飛散することがある.ガス化炉上部は灰の融点よりも低温であるため,上部に飛散したスラグが炉壁などに付着すると固化・成長し,運転の妨げとなる.したがって,スラグの飛散高さを抑制する設計が必要である.スラグの飛散挙動は,上昇流と旋回流によって支配される.旋回流は自由渦と強制渦の合成であるRANKINE組み合わせ渦とし,また上昇流は,ガス化炉出口流速分布を拡大して算出するモデルとした.この推算はコールドモデル試験結果による測定結果と概略一致した.スラグ飛散は,重力と上昇流のバランスから上昇速度を求め,炉壁方向への移動は,遠心加速度から速度を求めるモデルとした.スラグ飛散高さは実測値との誤差±20%以内で推算できた.