抄録
水処理用の膜の開発のためにMFI型ゼオライト膜の結晶の粒界制御を行った.粒界をnmからμm程度に大きくすることでゼオライトの吸着能とろ過能の両方を共有する膜の開発を目指している.ゼオライト膜の吸着を利用するため,膜厚の制御は重要な検討課題である.そのため,ゼオライトの製膜には,多孔質基材上に乾燥ゲルを塗布し,その後,高温水蒸気で結晶化を行うドライゲルコンバージョン法を用いた.粒界制御用テンプレートとしてポリエチレングリコール(PEG)を乾燥ゲルに添加した.粒界のサイズは,350°Cの低温焼成後に,ナノパームポロメーターにて評価した.XRD測定により,PEGの混入の有無に関わらず,MFI型ゼオライトが基材上に得られることを確認した.PEG未混入で製膜を行った結果より,MFI型ゼオライト膜の粒界のサイズは6 nmであることがわかった.また,PEG混入(分子量1000,PEG/SiO=0.1)により粒界の大きさが16 nm以上と大きくなった.粒界制御テンプレートとしてPEGを混入することで,MFI型ゼオライト膜の粒界を制御できる可能性が示されたといえる.