化学工学論文集
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[特集]環境・エネルギー・材料プロセスにおける熱工学の新展開
サーモグラフィーによる固体高分子形燃料電池のin situ温度面分布計測と温度面分布生成因子の解明
西村 顕竹内 将幸澁谷 健一廣田 真史加藤 征三中村 義弘小島 正嗣成田 雅彦舘 祐成葛山 弘一
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2009 年 35 巻 5 号 p. 442-453

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抄録

固体高分子形燃料電池(PEFC)単セル内の熱・物質・電荷移動といった各種連成現象のメカニズムを解明するため,温度面分布が上記連成現象に重要な役割を担うことに着目して,サーモグラフィーにて発電状態のin situ温度計測を行った.可視化用窓セルを作成し,ガス流入・流出位置,流入ガス流量を変化させてカソード側セパレーターのガス流路背面の温度面分布を測定した.また同時に単セル流入・流出ガス流量,入口ガス温度,入口ガス露点温度,ならびに電流・電圧値のデータも収集し,これらの相関を調べた.その結果,カソードのガス流入・流出位置を変更すると,高温領域の位置が変化した.通常運転に対し流入ガス流量を増加させたところ,対流熱伝達の冷却効果で,流入ガス流量の増加に伴い観察面全体の温度が降下した.水素のストイキ比を1.00に設定したところ,発電性能や温度面分布に変化は見られなかった.しかし酸素のストイキ比を1.00に設定したところ,電圧値降下が認められ,また高温領域がガス流出口付近からガス流入口付近へシフトした.観察面の温度面分布はカソード側セパレーターのガス流路内ガス流れや流路構造の影響を大きく受け,酸素の供給方法が温度面分布や反応面分布を支配することが明らかとなった.

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© 2009 公益社団法人 化学工学会
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