2009 年 35 巻 5 号 p. 532-538
本研究では,自動車用内装部品を加飾する乾式転写装置内におけるふく射伝熱解析を行い,加飾シートが転写される被転写体の表面温度を推算し,被転写体表面温度に対するヒータの設置角度ならびにヒータ温度の影響を検討した.解析対象とした転写装置に設置されている計8枚のヒータのうち,4枚のヒータ角度を残りの4枚のヒータに対して0,15,30°と変化させて被転写体温度に及ぼす影響を検討した.ヒータ角度を変化させると被転写体表面温度の上昇が速くなり,被転写体表面の温度むらへの影響は小さい結果となった.さらに,ヒータ温度を473,513および553 Kと変化させて解析した.ヒータ温度が高くなるにつれて被転写体の温度上昇が速くなる結果が得られたが,被転写体表面の温度むらが大きくなった.したがって,被転写体を均一かつ速やかに加熱するためには,ヒータの配置を変更することが必要となることが示唆された.