化学工学論文集
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分離工学
超臨界CO2中溶解度測定による溶質SP値の実験的推定
佐藤 恵武田 圭右大田 昌樹佐藤 善之猪股 宏
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2010 年 36 巻 5 号 p. 466-471

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抄録

溶解度パラメータ(SP値)に基づく希少天然成分の溶解度定量化を目的とし,flavone,6-methoxyflavoneの2種のフラボノイドを対象とした実験的検討を行った.まず,各種有機溶媒を用いた溶解度測定実験により,溶解度が最大となるSP値を求めたところ,いずれの溶質もSP値はおよそ19 MPa0.5と推定された.一方,Fedors法およびHansen法による推算値は22–25 MPa0.5と推定値より大きく偏倚することがわかった.次に,超臨界CO2中の溶解度測定実験を実施し,得られたデータに対して正則溶液論に基づく固液平衡モデルを適用した.その結果,溶質のSP値を温度,圧力(CO2密度)の関数として表現すると良い相関結果が得られた.この式をCO2密度ρ=0へと外挿し常温常圧下のSP値を17.6 MPa0.5と求めると,前述した有機溶媒中の溶解度から決定したSP値とほぼ一致した.以上よりSP値に基づく固体溶質の超臨界CO2に対する溶解度推算の可能性を示すことができた.

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© 2010 公益社団法人 化学工学会
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