日本森林学会誌
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論文
ウバメガシの萌芽更新に及ぼす伐根直径と伐採高の影響
山下 (中森) 由美子
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2019 年 101 巻 5 号 p. 235-241

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抄録

大径化したウバメガシの更新手法を検討するため,ウバメガシ林伐採地において伐採1~3年後の個体からの萌芽発生(期首)と伐採5~6年後の生残(期末)を調査した。調査した6林分を,平均伐根直径によって二つのグループに区分した(「利用適期林分」,「大径化林分」)。ウバメガシの萌芽が発生した個体の割合は期首・期末とも利用適期林分で高かったのに対し,大径化林分では期末に減少した。大径化林分の伐根の萌芽率は,期首・期末とも伐根直径が大きいほど,また伐採高が高いほど低下した。伐根当たりの萌芽数については,それが最大になるような伐根直径のピークはみられなかった。一方,萌芽数は高齢な大径化林分で増加したのに対して,有萌芽の伐根数,最大萌芽長,萌芽径は利用適期林分で増加した。以上から,ウバメガシは萌芽性が強い樹種であるが,高齢化によって大径化すると萌芽力は低下し,無萌芽個体が増加することが明らかになった。よって,従来から行っている原木径6~12 cmで更新することは,ウバメガシの萌芽性からメリットが多いことがわかった。原木径が大きい場合には,伐採高を低くすることで伐根の萌芽率の低下を抑えられると考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本森林学会
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