化学工学論文集
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分離工学
DDR型ゼオライト膜を用いたバイオガスのCH4/CO2分離プロセスの開発
姫野 修司竹谷 究藤田 昌一
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2010 年 36 巻 6 号 p. 545-551

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抄録

高いCO2/CH4分離性能を有するDDR型ゼオライト膜を用いたバイオガスの膜分離プロセスの開発を行うとともに,DDR型ゼオライト膜を用いた下水処理施設から発生するバイオガスの分離・精製と膜の耐久性を評価した.まず,簡素な1段分離プロセスに必要な膜性能を数理モデルにより把握し,実験によってDDR型ゼオライト膜を用いる際の最適な処理流量を決定した.次いで,実バイオガス分離・精製を行うために下水処理施設内にパイロットプラントを設置し,精製実験を行った.結果,目標とする回収CH4濃度90%,排出CO2濃度97%で精製可能であった.また,約40時間以上通気しても膜性能は変化しなかった.そのため,本研究で開発した膜分離プロセスは十分にバイオガスの分離・精製に適用することが可能であることがわかった.さらに,バイオガスの前処理を一切行なわず1600時間供給することにより,バイオガス中の不純物が膜分離性能に与える影響の検討を行った結果,長時間の通気によりバイオガス中に不純物として含まれる高級炭化水素,シロキサンなどの高沸点化合物により膜性能が低下すると考えられた.

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© 2010 公益社団法人 化学工学会
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