化学工学論文集
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移動現象,流体工学
流脈線を基にした層流混合モデルにおける不変構造と可変特性
井上 義朗
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2011 年 37 巻 3 号 p. 211-222

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抄録

分子拡散効果が無視できる場合の層流混合パターンの時間変化は,速度場が既知であれば一意的に確定し,原理的には速度ベクトルを時間積分することにより曖昧さなく計算することができる.しかし,3次元撹拌槽内の混合場のような複雑な流れ系では,たとえ層流といえども,混合機構とその物理的・幾何学的イメージの全体像を把握することは極めて困難である.他方,撹拌槽内の層流混合では,撹拌翼の羽根先端部から伸びる流脈線が鋳型となって混合が進行することがわかっている.本論文では,この流脈線とその上での写像関係に基づく,新しい層流混合モデルを示す.これにより,従来の単純な混合モデルよりも,混合場の背後に存在する時間的に不変な規則的構造と,それに従って時間変化する混合パターンの可変的特性との相互関係,およびその物理的イメージがより明確に捉えられるようになった.

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© 2011 公益社団法人 化学工学会
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