バイオエタノールの濃縮には主に蒸留が用いられているが,多量のエネルギーが必要となる.そこで本研究では吸着法に着目し,省エネ型のバイオエタノール分離・濃縮法の開発を行った.吸着材には疎水性吸着材として知られるハイシリカゼオライトを用いた.その疎水性や細孔構造を利用して発酵液からのエタノールの濃縮を試みるため,エタノール吸着特性の評価を行った.さらにゼオライトが酵母の増殖・発酵に及ぼす影響を明らかにするために,ゼオライト共存下で培養試験を行った.
市販ゼオライトを用いたエタノール吸着において,吸着等温線はFreundlich型を示し,5 vol%エタノールからの吸着容量は最大で約90 mg g21であった.エタノール吸着にはゼオライトの疎水性,マイクロ孔径およびマイクロ孔容積割合が影響していることが示唆された.ゼオライト共存下での発酵試験では,ペレット状ゼオライトを添加することにより発酵能および増殖能の増大が確認された.