2011 年 37 巻 3 号 p. 277-283
プロセスの高度化・複雑化に伴い高発熱化傾向にある産業デバイスの冷却方法として,水の相変化に伴う蒸発潜熱により大きな冷却効果が見込める微細粒子ミスト冷却が注目されている.そこで本研究では,微細粒子ミスト冷却を産業デバイスに応用するため,Euler–Lagrange法を用いた熱流動解析モデルを構築し,気相の流動,粒子の噴霧・蒸発挙動,ワーク材の冷却挙動について解析を行った.実験結果と解析結果の比較から,本モデルの妥当性を確認するとともに,微細粒子ミスト冷却の高熱流束冷却特性が示された.解析結果から,噴霧粒子の約50%がワーク材に衝突し,そのうち20–30%が蒸発した.また,ワーク材温度は微細粒子の衝突頻度が高い中心部においてより低下した.