2013 年 39 巻 4 号 p. 280-286
本研究では感温液晶の計測温度幅拡大を目的に,呈色温度域が異なる2種類の感温液晶を同時使用し,広い温度域における液相内温度場測定を試みた.2種類の感温液晶を同時使用するとき,色と温度の関係が多寡関数となるが,感温液晶の濃度に差をつけて懸濁することにより,これに起因した呈色の彩度と輝度に有意の差が現れ,これらを組み合わせて判断することで感温液晶の区別が可能であった.また,個々の感温液晶については,低温呈色域では色相が,高温呈色域では彩度が,温度に対して良好に一対一で対応し,こられの関係が呈色領域ごとに較正データ化できた.一方,感温液晶の呈色が観測角度の影響を受ける問題があるが,これに対する方策としてスリット光の二方向照射が有効である.本法により循環して色を呈する感温液晶可視化像の温度較正が可能となった.