化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
物性,物理化学
ブラウン動力学シミュレーションによる強磁性棒状粒子分散系の磁気粘性効果の検討
青島 政之佐藤 明
著者情報
ジャーナル 認証あり

2013 年 39 巻 4 号 p. 272-279

詳細
抄録

強磁性棒状粒子からなるコロイド分散系について,外部磁場とせん断流がレオロジー特性に及ぼす影響をブラウン動力学シミュレーションによって調べた.強磁性粒子モデルとして,両端の半球の中心に磁荷を有する球冠円柱モデルを用いた.外部磁場は単純せん断流のせん断面に対して垂直方向に印加した.粘度は粒子と磁場の間の磁気的相互作用,粒子間の磁気力およびトルクからなる3つの寄与に分割して評価した.得られた主たる結果を要約すると以下の通りである.せん断流の影響が比較的小さい場合,粒子間の磁気的相互作用が増加するとともに粘度の値も急激に増加する.これは磁場方向に形成した鎖状クラスタが流れ場に対して抵抗となることに由来する.ところがせん断流の影響が支配的になると,鎖状クラスタは強いせん断流により崩壊するため,粘度は減少する.

著者関連情報
© 2013 公益社団法人 化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top