2013 年 39 巻 4 号 p. 272-279
強磁性棒状粒子からなるコロイド分散系について,外部磁場とせん断流がレオロジー特性に及ぼす影響をブラウン動力学シミュレーションによって調べた.強磁性粒子モデルとして,両端の半球の中心に磁荷を有する球冠円柱モデルを用いた.外部磁場は単純せん断流のせん断面に対して垂直方向に印加した.粘度は粒子と磁場の間の磁気的相互作用,粒子間の磁気力およびトルクからなる3つの寄与に分割して評価した.得られた主たる結果を要約すると以下の通りである.せん断流の影響が比較的小さい場合,粒子間の磁気的相互作用が増加するとともに粘度の値も急激に増加する.これは磁場方向に形成した鎖状クラスタが流れ場に対して抵抗となることに由来する.ところがせん断流の影響が支配的になると,鎖状クラスタは強いせん断流により崩壊するため,粘度は減少する.