2013 年 39 巻 4 号 p. 359-362
本研究では,バイオマスとして廃棄処分されている乾燥海苔の有効利用の一環として,乾燥海苔から得られた抽出物の免疫賦活効果について in vitro および in vivo で検討した.海苔抽出物は,in vitro において,マウスの脾臓細胞に対してインターフェロン-γ(IFN-γ)を産生誘導した.また,ヒトナチュラルキラー(NK)細胞に対してもIFN-γの産生を誘導し,白血病細胞に対する細胞傷害活性を有意に高めた.このことから,海苔抽出物のNK細胞に対する免疫賦活効果が明らかになった.一方,海苔抽出物を単回経口投与したマウスにおいて,血清中のIFN-γ産生量の有意な増加が見られたことから,海苔抽出物は,in vivo においてもT細胞およびNK細胞を活性化していることが示された.さらに,海苔抽出物を反復経口投与した担がんモデルマウスにおいて,免疫賦活効果による延命率の有意な増加が見られた.