粒径の異なるポリスチレンラテックス粒子からなる2成分系の希薄懸濁液を用いて,小粒子は透過するが,大粒子は完全に阻止する精密濾過膜で,定速および定圧精密濾過を行い,濾過特性を検討した.濾過の進行にともなう小粒子の阻止率の変化に加え,定速濾過では,濾過圧力の変化を,また定圧濾過では,濾過速度の変化を測定した.初めは大粒子のみからなるケークが形成され,ケーク濾過の機構で濾過が進行するが,やがて小粒子も阻止されてケーク中に含まれるようになり,最終的には大小両粒子の混合ケークが形成され,大粒子ケークに比べて著しく大きな濾過比抵抗値を示しつつケーク濾過が行われることが,閉塞濾過特性式に基づくプロットから明らかとなった.定速濾過の場合,濾過速度が小さいほど,また定圧濾過の場合,濾過圧力が小さいほど,小粒子は阻止されやすくなり,濾過抵抗の増大に寄与する.小粒子の阻止率変化がロジスティック曲線で表されることに着目し,小粒子の部分的な透過を考慮して,濾過抵抗が,膜抵抗のほか,大粒子のケーク抵抗と捕捉された小粒子によるケーク抵抗の増加分との和で表されると考えることによって,定速濾過と定圧濾過の両者に適用できる一般化濾過式を導出した.さまざまな条件における実験結果とモデルに基づく計算値とが比較的良好な一致を示すことを確認し,提案したモデルの妥当性が確かめられた.