化学工学論文集
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41 巻 , 5 号
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編集ノート
移動現象,流体工学
  • 森川 議博, 朝山 真輔, 加藤 禎人, 大日向 祐樹, 加藤 紀幸, 岩田 修一, 古川 陽輝, 南雲 亮
    原稿種別: ノート
    2015 年 41 巻 5 号 p. 273-275
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    撹拌が困難な粘弾性流体を混合する撹拌装置を開発した.ワイゼンベルグ効果による流体がシャフトに巻きついて這い上がる現象を抑制するため,翼は停止させ,槽を回転させる方式とし,定期的に回転方向を反転させる機構とした.また,槽壁近傍の流体は流動しにくいため,アンカー形状を採用し掻き取り効果を持たせた.これにより,シリコーンゴム系の見かけ粘度と弾性応力が非常に大きな粘弾性流体を効率よく混合することができた.
  • 加藤 禎人, 大谷 祥太, 古川 陽輝
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 276-280
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    筆者らは流脈の可視化に基づき,3S(Simple, Speedy, Stable)の性能を持つ新規な撹拌翼(HB翼)を開発した(Kato et al., 2015b).本報では,短時間で流脈が広がるHB翼の実用化を目指し,動力特性と混合特性を評価した.所要動力は,層流域では大型翼の動力相関の考え方により,乱流域ではパドル翼の取り付け位置による動力低下を考慮することにより,既存の相関式で推算可能なことがわかった.混合特性は脱色法により評価し,広いレイノルズ数範囲でドーナツリング状の未混合領域も発生しないことがわかった.
粉粒体工学
  • 小早川 昔離野, 藤元 あゆみ, 安田 正俊, 松坂 修二
    原稿種別: ノート
    2015 年 41 巻 5 号 p. 281-284
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    粒子径20–300µmの粒子を対象として,気相における粒子と壁の衝突挙動を実験的および理論的に検討した.顕微高速度カメラによって得られた画像を用いて,衝突前後の速度におよぼす粒子径の依存性を定量的に解析した.平板近傍における流体抵抗の増加(すなわち,潤滑効果)を考慮した衝突速度の数値計算を行い,実験値と比較した結果,両者は良好に一致することがわかった.微粒子では,潤滑効果を含めた流体抵抗が粒子慣性と比べて大きくなることに起因して速度低下が生じることを明らかにした.さらに,衝突速度と粒子密度を変化させた実験によって,反発係数はストークス数の減少とともに小さくなることを示した.
  • 小早川 昔離野, 松坂 修二
    原稿種別: レビュー
    2015 年 41 巻 5 号 p. 285-292
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    振動コンベヤは,粒子を跳躍移動させる傾斜振動トラフを備えた装置であり,固体材料の輸送用に産業で広く用いられている.しかし,粒子にはたらく付着力や流体抵抗の基礎的検討は行われておらず,微粒子を対象とした振動輸送を詳細に説明する報告は見当たらない.本報では,二次元振動する平板上の微粒子の挙動に関する最新の実験的および理論的研究の成果をまとめて記す.平板に付着した粒子に十分な強度の二次元振動を加えると,粒子は平板から分離して跳躍を繰り返すが,平板に対して接線方向に外力を加えると粒子は回転し始め,これにともなって,粒子・平板間相互作用力が著しく低下するので,比較的小さい外力でも粒子は平板から分離する.また,粗粒子は一次粒子として前後に大きく跳躍しながら移動するのに対し,微粒子は反発係数の小さい凝集粒子を容易に形成し,微小な跳躍を一定方向に繰り返すので,凝集粒子の平均移動速度は粗粒子に比べて大きくなる.これらの現象は,理論的確率モデルおよび粒子軌跡の数値シミュレーションによって説明できる.
分離工学
  • 橋本 吉晃, 大田 昌樹, 佐藤 善之, 大泉 康, 猪股 宏
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 293-297
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    本報では,高活性な天然化合物を他成分から高選択的に分離濃縮することを目的とし,前報にて開発した超臨界流体抽出–精留プロセスの実サンプルへの応用を図った.抽剤をCO2およびエタノールの2成分として,圧力12 MPaのもとエタノール組成7.7 mol%,抽出部温度313 K,精留部温度353 K, CO2流量1.4 L(STP)/minとして摘果柑橘果皮からの超臨界流体抽出-精留実験を行ったところ,単抽出では分離できなかったクロロフィルとノビレチンを高度に分離することができた.続いて,同温度,圧力,流量条件のもと抽剤をCO2,エタノールおよび水の3成分としてエタノール組成7.4 mol%,水組成0.87 mol%に調整して実験を行ったところ,塔頂からノビレチンを光合成色素の夾雑なく得ることができた.これにより,超臨界流体抽出–精留実験を通してノビレチンの効率的な分離が達成された.
  • 時岡 良輔, 宮本 均
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 298-304
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    アニオン交換膜を用いた電気化学的手法によって,模擬排ガスからの二酸化炭素の分離を試みた.カソードで二酸化炭素と水が反応して炭酸イオンおよび炭酸水素イオンが生成し,アノードに移動して二酸化炭素に戻る機構である.アノードの加湿条件や電極組成を変えて実験したところ,二酸化炭素の分離濃縮は可能であり,炭酸イオン,炭酸水素イオンの膜中の移動割合(輸率)はそれぞれ0.83と0.17であった.分離の必要電圧として約2 Vが必要となり,過電圧の低減が課題として残った.
  • 田中 雄, 宮本 均
    原稿種別: ノート
    2015 年 41 巻 5 号 p. 305-308
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    オンサイト型酸素製造装置の開発を狙いとして,アニオン交換膜を用いて常温常圧条件で,電気化学的に空気中から酸素を分離精製する手法を検討した.水溶液中で一般に使用されるアニオン交換膜が,酸素ガス分離膜として機能するためには膜がイオン選択透過性を持つ必要がある.濃淡膜電位の計測と通電試験から,アニオン交換膜中の移動イオンは水酸化物イオンであり,空気から酸素を電気化学的に分離可能なことを見出した.過電圧の低減にはカソードへのアルカリ添加が有効であり,約2.0 Vの電圧において1000 A·m-2の電流密度を得た.
  • 入谷 英司, 片桐 誠之, 石川 義人
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 309-316
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    粒径の異なるポリスチレンラテックス粒子からなる2成分系の希薄懸濁液を用いて,小粒子は透過するが,大粒子は完全に阻止する精密濾過膜で,定速および定圧精密濾過を行い,濾過特性を検討した.濾過の進行にともなう小粒子の阻止率の変化に加え,定速濾過では,濾過圧力の変化を,また定圧濾過では,濾過速度の変化を測定した.初めは大粒子のみからなるケークが形成され,ケーク濾過の機構で濾過が進行するが,やがて小粒子も阻止されてケーク中に含まれるようになり,最終的には大小両粒子の混合ケークが形成され,大粒子ケークに比べて著しく大きな濾過比抵抗値を示しつつケーク濾過が行われることが,閉塞濾過特性式に基づくプロットから明らかとなった.定速濾過の場合,濾過速度が小さいほど,また定圧濾過の場合,濾過圧力が小さいほど,小粒子は阻止されやすくなり,濾過抵抗の増大に寄与する.小粒子の阻止率変化がロジスティック曲線で表されることに着目し,小粒子の部分的な透過を考慮して,濾過抵抗が,膜抵抗のほか,大粒子のケーク抵抗と捕捉された小粒子によるケーク抵抗の増加分との和で表されると考えることによって,定速濾過と定圧濾過の両者に適用できる一般化濾過式を導出した.さまざまな条件における実験結果とモデルに基づく計算値とが比較的良好な一致を示すことを確認し,提案したモデルの妥当性が確かめられた.
移動現象,流体工学
  • 稲垣 照美, 李 艶栄, 山内 紀子
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 317-325
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究は磁性流体(媒体:水,媒質:マグネタイト微粒子)の非磁場下と鉛直磁場下における熱物性を定量的に評価し,水平加熱細線周りの自然対流熱伝達を実験的に検討したものである.ここでは,実測した熱物性値に基づいて水平加熱細線周りに生起する自然対流の熱伝達率を整理し,従来から提案されている伝熱相関式と比較・検証しながら非磁場下と鉛直磁場下における自然対流の伝熱特性を考察した.その結果,非磁場下における磁性流体の水平加熱細線周りの自然対流熱伝達は,細線周りに熱伝導率の高いマグネタイト粒子が凝集するため,純水のそれよりも増加した.また,鉛直磁場下における磁性流体の水平加熱細線周りの自然対流熱伝達は,磁場によって誘起された磁性粒子のレオロジー効果に起因して非磁場下のそれよりも劣化した.
反応工学
  • 田中 大輝, 伊藤 宜司, 小川 ひろみ, 谷口 尚司, 溝口 忠昭
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 326-332
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,湿式排煙脱硫法の主要な過程である石灰石の硫酸,亜硫酸への溶解機構を解明することを目的とした.まず界面積の明確な平板状の安息香酸試料を用いて実験装置の物質移動特性を明確にし,その後平板状の石灰石を撹拌槽内の硫酸,亜硫酸および石膏で飽和した硫酸に溶解させ,その溶解速度と撹拌速度などの各種因子との関係を解析した.その結果,石灰石の硫酸への溶解速度は境膜内拡散過程で律速されており,領域I (CH2SO4<2×10-2 mol·m-3),領域II (2×10-2<CH2SO4<5 mol·m-3),領域III (5<CH2SO4<100 mol·m-3) のそれぞれで,溶解は石灰石成分の固体表面からバルクへの拡散,硫酸のバルクから固体表面への拡散,石灰石表面に晶出した石膏成分の固体表面からバルクへの拡散によって律速されることが明らかとなった.亜硫酸では,石灰石の溶解速度に影響するような晶出物は生成せず,溶解速度は亜硫酸のバルクから固体表面への拡散によって律速されていることが明らかになった.石膏で飽和した硫酸への石灰石の溶解速度は,領域IおよびIIのいずれにおいても硫酸の拡散によって律速されていることが明らかになった.
プロセスシステム工学,安全
  • 王 者興, 野田 賢
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 333-339
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    プラント監視制御システムの高度化によって,プラントオペレータ一人あたりの監視アラーム数が急増している.個々のアラームの必要性や管理範囲の妥当性が十分精査されないままアラームシステムが設計されている運転現場も多く,単一のプラント異常から複数のアラームが連鎖的に発報する連鎖アラームが問題となっている.本論文では,プラントアラームシステムの適正化を目的に,ドットマトリックス解析を用いたプラント運転データからの連鎖アラーム抽出法を提案する.ドットマトリックス解析は,バイオインフォマティクス分野で,DNAやタンパク質配列の配列アラインメント手法の一つとして広く用いられている.提案手法では,まずプラント運転データに記録された発報アラームを,それらの発報順に並べたアラーム配列に変換する.つぎに,ドットマトリックス解析により,アラーム配列中の発報パターンが一致する部分配列を特定し,それらを連鎖アラームとして抽出する.最後に,レーベンシュタイン距離に基づき類似する連鎖アラームをグルーピングする.提案手法を共沸蒸留プロセスの運転データに適用し,プラント運転データから連鎖アラームを抽出した.
エネルギー
  • 望月 友貴, 坪内 直人, 菅原 勝康
    原稿種別: 報文
    2015 年 41 巻 5 号 p. 340-349
    発行日: 2015/09/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル 認証あり
    低品位炭の燃焼時におけるBとSeの分配挙動を決定する因子を明らかにするため,その挙動におよぼす除じん条件と脱硫条件の影響を調べた.その結果,フライアッシュ(FA)の反応器出口から除じんフィルターまでの滞留時間はBの行方にほとんど影響を与えなかったが,Seの場合は時間が長くなるとFA中に保持される量が増加した.次に,炭種の影響を検討したところ,高灰分炭では一般的な灰分含有炭と比較し,Bはボトムアッシュ(BA)に移行する量が多かったものの,試験した炭種間のFAへの移行割合はほぼ同程度であり,その行方は石炭の種類に依存した.これに対し,Seは炭種に依らず燃焼時にほぼすべてが気相に移行し,BA中の量は非常に少なかった.除じん温度の影響に関しては,燃焼時に生成するガス状BのFAへの移行は90–400°Cの温度範囲では観測されなかったが,ガス状Seの量は温度の低下にともない減少し,FA中に濃縮された.このような濃縮が起こる温度域は炭種により異なったことから,FA中に含まれる灰分の組成や排ガス中のSの量(Fe/SやCa/S比)はSeの行方に影響を与えることが示唆された.また,ガス状Seは除じん温度を90°Cにすると,その90%以上がFA中に取り込まれた.脱硫試験では,除じんフィルターを通過したガス状のBとSeの大部分が脱硫溶液に捕捉され,残りは石膏中に移行した.このような試験時の両元素の分配には,脱硫溶液のpHと温度はほとんど影響を与えなかった.微粉炭燃焼時に生成するガス状BとSeの大部分は除じん装置と脱硫装置で除去できることが明らかとなった.
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