本報では,高活性な天然化合物を他成分から高選択的に分離濃縮することを目的とし,前報にて開発した超臨界流体抽出–精留プロセスの実サンプルへの応用を図った.抽剤をCO
2およびエタノールの2成分として,圧力12 MPaのもとエタノール組成7.7 mol%,抽出部温度313 K,精留部温度353 K, CO
2流量1.4 L(STP)/minとして摘果柑橘果皮からの超臨界流体抽出-精留実験を行ったところ,単抽出では分離できなかったクロロフィルとノビレチンを高度に分離することができた.続いて,同温度,圧力,流量条件のもと抽剤をCO
2,エタノールおよび水の3成分としてエタノール組成7.4 mol%,水組成0.87 mol%に調整して実験を行ったところ,塔頂からノビレチンを光合成色素の夾雑なく得ることができた.これにより,超臨界流体抽出–精留実験を通してノビレチンの効率的な分離が達成された.
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