2016 年 42 巻 1 号 p. 1-7
イオン交換作用を有する層状ケイ酸ナトリウムの一種アイラアイトについて,セシウムの吸着特性を調べた.水溶液からのセシウムイオン(Cs+)のアイラアイトによる吸着量を測定するとともに,吸着・脱離挙動をX線回折法や熱分析法などにより観察し,他の粘土鉱物との比較を行った.アイラアイトは吸着量に優れ,特にセシウム高濃度域でも高い吸着量を維持できることがわかった.アイラアイトではCs+は水分子を介した外圏錯体として緩く結合し,ケイ酸層が形成する剛性の高いチャンネル構造に沿って層間の奥まで侵入できるため,高い吸着量を示すと考察した.吸着したCs+は酸で洗浄することで脱離でき,これはイオン吸着に寄与するケイ酸層の電荷が変異電荷であるためと理解された.Cs+脱離後にアイラアイトを再生すると,再度セシウムを吸着できることが確認された.