化学工学論文集
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42 巻, 1 号
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編集ノート
分離工学
  • 矢挽 喬資, 江場 宏美, 桜井 健次
    原稿種別: 分離工学
    2016 年 42 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    イオン交換作用を有する層状ケイ酸ナトリウムの一種アイラアイトについて,セシウムの吸着特性を調べた.水溶液からのセシウムイオン(Cs+)のアイラアイトによる吸着量を測定するとともに,吸着・脱離挙動をX線回折法や熱分析法などにより観察し,他の粘土鉱物との比較を行った.アイラアイトは吸着量に優れ,特にセシウム高濃度域でも高い吸着量を維持できることがわかった.アイラアイトではCs+は水分子を介した外圏錯体として緩く結合し,ケイ酸層が形成する剛性の高いチャンネル構造に沿って層間の奥まで侵入できるため,高い吸着量を示すと考察した.吸着したCs+は酸で洗浄することで脱離でき,これはイオン吸着に寄与するケイ酸層の電荷が変異電荷であるためと理解された.Cs+脱離後にアイラアイトを再生すると,再度セシウムを吸着できることが確認された.
  • 伊藤 直次, 徳永 瑞美, 佐藤 剛史, 長谷川 泰久, 清住 嘉道
    原稿種別: 分離工学
    2016 年 42 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    共沸蒸留を伴うイソプロピルアルコール(IPA)脱水の省エネルギー化として膜分離法の導入が期待されている.本研究ではCHA型ゼオライト膜に注目し,連続的にIPAを脱水し濃縮する循環式連続脱水試験における濃縮時間短縮を目的に合成条件の最適化を行った.H2O/IPA分離係数の高い膜を用いて連続脱水を行うとIPA回収率は高いものの,濃縮に多くの時間を必要とした.そこで,膜性能が操作温度によって変化することに着目し,濃縮の途中で低温から高温への昇温操作を伴う二段法を提案した.その結果,濃度分極の低減によって濃縮時間の大きな短縮を達成できることを解析的かつ実験的に示した.
  • 下茂野 香名江, 井上 宏志, 岡野 浩志, 松隈 洋介, 児玉 昭雄
    原稿種別: 分離工学
    2016 年 42 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    ハニカムロータを用いた温度スイング吸着(TSA)式CO2分離回収システムに関する実験的研究を行った.まず,さまざまな吸着材を担持したハニカムコアを調製,CO2破過曲線と298 Kおよび453 Kにおける吸着等温線を測定し,良好なCO2吸着特性を示した13X, Li-LSXおよびNa-LSX型ゼオライトをハニカムロータ化の候補として選定した.次に,これらの吸着材を担持したハニカムロータを用いて,CO2分離回収実験を行い,回収CO2濃度とCO2回収率を測定した.ゼオライト13Xの担持率を高めたハニカムロータでは,298 K, CO2濃度10%の模擬排ガスから濃度90%,回収率22%でCO2が分離回収できた.なお,回収濃度を80%に留めれば,回収率は50%程度にまで上昇する.また,298 Kと453 Kにおける平衡吸着量差,すなわち有効CO2吸着量Δqが大きいものほどCO2分離回収性能がよいことから,本システムにおいては,有効吸着量Δqが主要な吸着推進力であり,吸着材選定のための指標となることがわかった.
熱工学
  • 稲垣 照美, 武田 直也, 堀邉 将人, 李 艶栄
    原稿種別: Thermal Engineering
    2016 年 42 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,相変化蓄熱媒体の一種である脂肪酸(カプリン酸・ラウリン酸・ミリスチン酸)の液相状態における熱物性を評価し,その熱輸送プロセスとしての水平密閉矩形容器内自然対流の伝熱特性を実験的に検討したものである.ここでは,実使用形態に合わせた熱輸送プロセスに必要不可欠な伝熱データベースの充実を図るために,これまで著者らが構築した信頼性の高い熱物性計測システムを援用しながら脂肪酸の熱物性値とその温度依存性を定量的に同定するとともに,未解明な熱輸送機構について考察を進めた.すなわち,実測した熱物性値に基づいて水平密閉矩形容器内自然対流の熱伝達率を再整理することで,従来から提案されている伝熱相関式と比較・検証しながら液相状態下の自然対流の伝熱特性を解明した.その結果,脂肪酸の熱物性値に対する温度依存性を解明するとともに,液相状態下の自然対流熱伝達が先に提案されている水平密閉矩形容器内自然対流熱伝達に関する伝熱相関式と良好な一致を示すことを明らかにした.すなわち,新たに実測した熱物性値を適用した結果は,同定した熱物性値の有効性を示唆するものである.
反応工学
  • 北川 尚美, 大柳 友克, 博吉汗 斯琴髙娃, 中島 一紀, 丹羽 忠夫, 南 一郎, 米本 年邦
    原稿種別: 反応工学
    2016 年 42 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2016/01/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル 認証あり
    イオン交換樹脂触媒法は,現行の均相アルカリを触媒とするバイオディーゼル製造では原料利用できない遊離脂肪酸含有量の高い安価な油から,煩雑な前処理や精製処理なしに高品質のバイオディーゼルを製造できる画期的な技術である.本報では,これまでラボスケールの実験装置で蓄積してきた実験データに基づいて日産50 Lの全自動運転可能なパイロットスケール製造装置を設計・製作した.この装置を用いて,遊離脂肪酸含有量50 wt%の低品質非可食油を原料とし,アルコールにメタノールを用いた脂肪酸メチルエステル,およびエタノールを用いた脂肪酸エチルエステルの製造を行った.得られた燃料はいずれもアルコール除去操作のみでJIS規格の全項目を満たす高品質品となった.また,脂肪酸エチルエステルの燃料特性が,従来のメチルエステルよりも優れていることを明らかにした.
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