2019 年 45 巻 2 号 p. 86-90
水加ヒドラジン燃料電池稼動時に,副生し燃料中に蓄積されるアンモニアを水中プラズマで分解することを試みた.アンモニアは水中に生じたプラズマに直接取り込まれ,窒素と水素に分解されるのに対し,水加ヒドラジンは水分子のプラズマ分解で生じた過酸化水素等の活性酸素種と溶液中で反応し,分解されることがわかった.アンモニア・水加ヒドラジン共存水溶液中でプラズマを発生させると,アンモニアが選択的に分解され,水加ヒドラジンの分解は抑制された.これは,揮発性の高いアンモニアが優先的にプラズマの内部に取り込まれ,OHラジカル等活性酸化種と反応したと考察する.本法によれば,ヒドラジンを浪費することなく,選択的にアンモニアを分解することができ,水加ヒドラジン燃料電池の実用において有望な要素技術であることがわかった.