近年,金をはじめとする貴金属は,宝飾品としてだけでなく,電子材料や工業用触媒としての需要が高まっている.特に,技術革新による電子機器の小型化に伴い金属加工技術もナノレベルでの加工が求められている.金をナノサイズの粒子状に加工した金ナノ粒子は,様々な分野での活用が期待されている材料であり,容易な製造技術が求められている.今回,酢酸水溶液に溶解させたキトサンを膜状に加工し,それを用いて1000 ppmの金を含んだ0.1 M-NaCl水溶液からのキトサン膜による金イオンの吸着および還元によるナノ粒子化を検討した.その結果,キトサン膜上に金のナノ粒子が生成できることを見い出した.また,金ナノ粒子の粒子径は還元剤の種類と還元時間に依存しており,還元剤濃度では差がみられなかった.