1952 年 16 巻 6 号 p. 178-185
棚段塔,ことに多孔板塔では,段上の液体と氣体は完全に混合するものでなく,泡沫層形成域ではむしろ完全な十字流である。そのため段上の液体と氣体は水平方向,垂直方向に濃度勾配が存在する筈である。筆者はこの点に着目して,いわゆるMurphree効率を解析し,これを塔徑,泡沫層の高さ,平衡曲線の傾き,塔内上昇蒸氣量,溢流液量および液氣間の物質移動抵抗を表わす係数の凾数として計算できる理論式を誘導した。なおこの式により,段上の液濃度の相異によつて段効率が異なる原因をあきらかにした。