化学工学論文集
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触媒含浸時の粒子内水素イオン濃度分布
小宮山 宏片岡 拓雄井上 博愛
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1984 年 10 巻 3 号 p. 337-342

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抄録

含浸法によって触媒を調製する場合, 触媒活性成分の担体粒子内分布は触媒特性に影響を与える重要な因子である.担持機構には, 吸着, イオン交換, 沈殿等があるが, いずれの場合でも水素イオン濃度の影響は重要であり, したがって含浸操作時の粒子内水素イオン濃度分布を明らかにすることが担持量分布を制御するために必要である.アルミナ粉末と酸との含浸実験の結果から, 両者の相互作用は基本的には, アルミナ上の塩基点と酸との中和反応の平衡関係が重要であろうと推論された.次に, 中和反応の平衡関係と粒子内物質移動過程を考慮した解析により, 含浸操作時に担体粒子内に溶液が酸性から塩基性に変化する界面が形成されることが明らかにされた.PdCl2をアルミナに含浸させた場合の, Pdの担持量分布のピーク位置は上記界面近傍に担持がなされると考えることによって定量的に明らかにされた.

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