石炭濃度27~60wt%の石炭・水スラリー (CWM) 水平円管内伝熱実験を, 層流域, 壁温一定の条件下で行った.
ニュートン流体と見なせる低濃度CWM (49wt%以下) で得られるNu数は, 静止状態のCWM熱伝導度を用いた既往の伝熱推算式による結果とほぼ一致した.しかし擬塑性を示す高濃度CWMの場合のNu数は, 静止状態で測定した熱伝導度を用い, ビンガムモデルで計算したNu数より2~3倍大きくなることが認められた.この結果は高濃度CWMの熱伝導度が大きくなっていることを示唆している.
この傾向を説明するため, 速度勢断域において粒子の不規則運動により自由水が半径方向へ混合しているとした伝熱モデルが提出された.このモデルを適用することにより, 異なった粒度分布を持つ3種のCWMの伝熱結果を良好に説明することができた.