1992 年 18 巻 6 号 p. 781-789
大きさの異なる粒子からなる懸濁液の噴霧乾燥粒子に偏析が見られることから, 大小二成分の粒子を含む懸濁液を噴霧乾燥することにより大粒子集合体の周囲が小粒子で被覆された無機質殻マイクロカプセルを製造することを試みた.大粒子と小粒子の粒径比および体積分率を変えて得られるマイクロカプセルのSEM観察および細孔径分布が測定された.小粒子の体積分率が2/3以上のとき, 粒径比が0.1と0.2の場合に小粒子からなる殻が形成され, 粒径比が0.5の場合には小粒子による殻の形成は見られなかった.小粒子として無機質の超微粒子であるコロイダルシリカを用いると, その体積分率が0.7以上であるとき水銀圧入式ポロシメータでは細孔 (10nm以上) が検出されないマイクロカプセルが得られた.このマイクロカプセルは大粒子として塩基性炭酸マグネシウムを用いたとき, pH2の緩衝溶液中で徐放性を示した.コロイダルシリカ殻からの有効成分の溶出はコロイダルシリカ中のソーダ分の溶出した後に形成される細孔を通して行われることが推定された.