化学工学論文集
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W/Oエマルションの電気的連続解乳化
井野 一今石 宣之宝澤 光紀藤縄 勝彦
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1992 年 18 巻 6 号 p. 819-826

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抄録

乳化液膜法で使用される交流高電圧を用いる連続式電気解乳化器の性能に及ぼす電極形状の影響を実験的に検討した.W/Oエマルションの油相にはケロシン, 界面活性剤にはSpan 80, 内部水相には食塩水を用いた.解乳化器は内径4.9cm, 高さ45cmまたは100cmの垂直円筒形槽で無攪拌である.導電性電極として, その先端形状が円板型, 円錐型および球型の銅製電極を用いた.非導電性電極としては円板型のガラス製電極および平板型絶縁塗料被覆金属電極を用いた.解乳化を安定に連続運転できる単位有効装置体積当たりのエマルション最大流量を連続操作における最大解乳化速度, Vd [s-1] と定義し, Vdに及ぼす諸因子の影響を調べた.その結果, 電極形状の影響は小さいが, 円板型のものが最も良かった.円板型の導電性 (裸金属) 電極および非導電性 (ガラス) 電極について, 次の実験式を得た.
Vd=KCs-0.35d3pE0.75
導電性電極の場合
K=2.1×1010 [m-2.25・s-1・V-0.75]
非導電性電極の場合
K=1.6×1010 [m-2.25・s-1・V-0.75]
ここでCs=界面活性剤の体積分率 [-], dp=W/Oエマルション平均粒子径 [m], E;見かけ電界強度 [V・m-1] である.非導電性電極の場合は安定な連続解乳化が常に可能であった.導電性電極の場合はVdは大きいが, 電極がエマルション相に接近すると火花放電が起こり, 安定な運転が難しくなることがわかった.

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