化学工学論文集
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2粒子間に形成される液架橋現象
液中に溶解性不純物を含む現実的な系
遠藤 禎行向阪 保雄西江 恭延
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1992 年 18 巻 6 号 p. 950-955

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抄録

等径2球間に形成される液架橋の形成機構を架橋液中に含まれる不純物の影響を考慮に入れて理論解析するとともに実験的にも検討を行った.液体中に溶解性物質が含まれると液表面の蒸気圧が低下することを考慮に入れた修正Kelvinの式を適用して液架橋形成機構と架橋の大きさについて検討した結果, 溶解性物質を含む液架橋は純粋な水の架橋よりも容易に形成されること, および, その形状は雰囲気の湿度や溶質の濃度の関数として表されることがわかった.実験では, 2枚のガラス製凸レンズ間にNa2SO4, CaCl2およびNaClの水溶液の架橋を形成させ, これを恒温恒湿器内の一定の温度・湿度下で, 架橋形状を実体顕微鏡によって観察した.この結果, 架橋形状に及ぼす湿度や溶質の濃度の影響は理論解析によって説明づけることができた.
以上の結果から, 通常の粉体の湿式処理操作において存在する溶解性不純物が, 粒子乾燥後に形成される液架橋形状に大きな影響を及ぼすことを指摘した.

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