1993 年 19 巻 6 号 p. 1044-1052
超臨界状態 (SC) の二酸化炭素あるいはエチレンを溶離液とし, テトラヒドロフラン (THF) をステップ状に加えるカラム溶出法により, スチレン-無水マレイン酸共重合体のオリゴマーを分子量分別し, 溶離液と温度が分画特性に及ぼす効果を検討した.カラムの圧力は20MPaで一定とした.SC-C2H4/THF溶離液では溶解度が分子量の順に減少するために, SC-CO2/THFよりも低分子の分子量分別には有利であること, また, 分子量の大きな領域では50℃より90℃の方が分別はシャープになる結果を得た.物質移動モデルを用いてカラム出口での平衡脱離の条件を検討し, 超臨界流体-固定相担体間のオリゴマーの分配平衡係数Kを求め, Kと分子量の関係が分離因子σで評価できることを示した.また, 拡散係数の推算から超臨界流体中のオリゴマーの物質移動容量係数を評価し, 求めたKと組み合わせれば, 分画オリゴマー各成分の溶出率の計算値と実測値とがほとんど一致することを示した.