1993 年 19 巻 6 号 p. 1149-1156
耐熱性細菌 (Bacillus stearothermophilus) 胞子の光殺菌のため, 半導体触媒であるTiO2粒子 (平均粒子径 : 21nm) を懸濁した角型気泡塔反応器 (横幅4cm×奥行4cm×高さ25cm) を用いて光照射実験を行った.TiO2粒子と溶存酸素が共存する操作条件下で胞子の殺菌が有効となり, 本研究では, 反応器内平均光強度6.0×105J・m-3・h-1, TiO2濃度5×10-2kg・m-3, 溶存酸素濃度7.7×10-3kg・m-3の条件下で, 最も高い胞子殺菌速度が得られた.
TiO2の光触媒作用により溶存酸素から生成される酸化剤ラジカルが胞子の死滅を引き起こすと考え, 胞子濃度と酸化剤ラジカル濃度に関する2次反応速度式と1ヒット性多重標的モデルに基づく胞子殺菌速度の解析を行った.その結果, 胞子の殺菌経過を良好に表現することができ, 得られた殺菌速度定数と反応器内平均光強度の間には直線関係が認められた.