化学工学論文集
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ヘキサンー工タノール共沸混合物中の微量の水のマーブリー気相段効率
碇 醇
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1993 年 19 巻 6 号 p. 1187-1189

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抄録

炭化水素中の微量の水を蒸留によって除去する際, 微量の水の蒸留効率が異常に低いことが云われている.段効率やHETPは, 気液平衡比に基づいて計算されるが, 炭化水素中の微量の水の平衡比は, 測定者により一定せず, 微量の水自身の濃度によっても大きく変わることも考えられる.従って, この異常な効率の低さが, 気液平衡の測定値に問題があるのか, 物質移動現象に起因するのか明かではない.
微量成分の段効率を求める時に, 微量成分の平衡比が1より著しく大きいか, または著しく小さい系を使用すると, 液相または気相における微量成分の濃度が極度に小さくなって, 濃度測定の精度が悪くなり, 従って平衡比および段効率の精度も悪くなる.また, 平衡比が1に近い系を使用して, 一段の測定段で段効率を求めようとすれば, 測定段の上下における微量成分の濃度の変化が少なく, 段効率計算の精度が悪くなる.
本報で, 微量の水を含むヘキサン-エタノール共沸混合物を用いたのは, この系の微量成分である水の平衡比が測定され, それが適度な値であり, 濃度によってあまり変わらないことが分かっているからである.
また, 一段の測定段での段効率測定の困難さを考慮して, 本報でも10段のオルダーショウ型精留塔を使って蒸留実験を行った.留出液を缶に戻し, 定常状態になったときの留出液と缶液の組成から, 既報 の方法で, 微量成分である水のマーフリー気相段効率を求めた.従って, ここで求められたのは, 10段の段での平均の段効率である.
この精留塔では, 既に若干の系について同様の測定がなされているが, これらと比較して考察を加えた.

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