1994 年 20 巻 6 号 p. 912-917
石炭の風化が高濃度石炭水スラリー (CWM : Coal Water Mixture) の性状に及ほす影響について検討した.風化炭は風化期間の増加にともないCWMの粘度 (1 Pa・S) を基準とした到達濃度が低下し, またCWMを2週間静置した際に生じる沈降物量が増加した.風化によるスラリー化性の低下の原因について検討した結果, 風化期間の増加にともない石炭中の硫化鉄の酸化によって生じる硫酸塩が増加し, CWMが酸性化することが明らかになった.また風化により石炭表面の親水基が増加し, 石炭表面に吸着される水分量が増加する結果, CWMの流動化に寄与する “自由水” の割合が減少することが示唆された.以上のことからCWMの酸性化と石炭表面の親水基の増加が原料石炭の風化に伴うスラリー化性の低下の主な原因と考えられた.