1994 年 20 巻 6 号 p. 946-951
850℃で炭酸ガスを用いて活性化した褐炭に少量の鉄を担持した触媒は, 反応温度 425~435℃, 水素圧力7.0MPaという温和な条件でも石油系減圧残油の分解に高い活性を示した.活性化の過程で炭素表面に形成されるラジカルが分解反応の活性点であると考えられ, 従来の水素化分解触媒では被毒物質とされるアスファルテン, 含窒素化合物等を高濃度で含有するマヤ減圧残油でさえ100%の減圧残油転化率が得られた.活性化の過程で多量の夕ール, 一酸化炭素の回収が可能であり, シフト反応により一酸化炭素と炭酸ガス源, 水素源とすれば, それぞれを褐炭の活性化, および重質油の分解と分解生成油の水素化精製に利用することが可能であり, 自己完結型の新しい石炭・石油コプロセッシングプロセスを構築することができる.