抄録
豪州ビクトリア州に産する褐炭は, 低灰分, 低硫黄の上オープンカットで採炭できるという優れた特長を有しながら, その一部が, 地元で生焚きされて発電に利用されているに過ぎない.これは, 含水率が, 約65wt%と高く, 工業的に利用できる正味のエネルギーが低いことによるものである.この褐炭を有効利用すべく, 1980年にスタートした日豪共同の褐炭液化 (BCL) プロジェクトは, 直接液化プロセスをベースにするものである.本プロジェクトにおいては, 液化工程の前処理として, 含水率が高い生褐炭と循環液化溶剤油を合わせて, スラリーとした後, 油中でこれを脱水することにより, 大幅な省エネルギーを目指す斬新なプロセスが提案された.本脱水プロセスの実現の為に, PDUの基礎実験をもとにして乾燥炭で処理量2t/d規模のパイロットプラントが, ビクトリア州モーウェルに建設され, 順調に運転されて, その実用性が実証された.