化学工学論文集
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鉄多孔体による有機塩素化合物の酸化分解
竹村 洋三向井 達夫妹尾 健吾鈴木 基之
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1995 年 21 巻 1 号 p. 32-40

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抄録
通気性のある鉄多孔体を基材とした酸化反応 (フェントン反応) により, テトラクロロエチレン (PCE) 含有水の酸化分解処理を0.35dm3, 13dm3の密閉容器にて検討し, 次の結果を得た.
(1) 鉄多孔体は有効なフェントン反応用基材であり, 試料水1cm3当り50~60mg, 過酸化水素をH2O2/PCEモル比で5~10使用し, 攪拌処理すれば約30分後にほぼ全量のPCEをCO2まで酸化分解することが出来る.
(2) PCEの酸化分解反応速度はH2O2/PCEモル比が5.0~10の領域で最も大きく, 鉄多孔体使用量W (g/dm3) と見かけ分解反応速度K (mg/dm3・h) の間に
K=0.102W
の関係式を得た.又H2O2/PCEモル比が10以上では鉄多孔体表層部に不動態化現象が発生し, 分解速度は低下する.
(3) PCEの酸化分解反応式は
pH>4.0領域では
2Fe+C2Cl4+5H2O2→2CO2+2Fe (OH) 3+4HCl
pH<4.0の領域では
2Fe+C2Cl4+5H2O2→2CO2+2/3Fe (OH) 3+4/3FeCl3+4H2O
鉄多孔体による有機塩素化合物の酸化分解
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