化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
有機酸を用いた金属酸化物の調製
中山 智弘佐藤 智司袖沢 利昭野崎 文男
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 21 巻 6 号 p. 1054-1059

詳細
抄録

触媒材料としての高表面積を持つ金属酸化物の調製を目的として, 種々の金属塩と有機酸とを溶融して得られる固体を熱処理して目的の金属酸化物を得る調製法について検討した. 本法と他の調製法によるマグネシア, 酸化ランタン, 酸化ニッケル, および酸化セリウムの比表面積を比較した.その結果, クエン酸や乳酸などのヒドロキシカルボン酸およびグリシンなどのアミノ酸を有機酸として用いたところ, 高表面積を持つ材料を調製するために効果的であった.例えば, ヒドロキシカルボン酸を用いて本法で調製したマグネシアは, 高表面積の材料を得るための調製法として一般的な沈殿法を上回る比表面積値を示した.また, 硝酸塩の熱分解によって得られたマグネシアと比較して, 本法で調製したマグネシアは有機酸の脱離に由来すると考えられる細孔を持つ特異な形状をしていることが, 細孔径分布測定や走査型電子顕微鏡 (SEM) により観察された.

著者関連情報
© (社)化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top