化学工学論文集
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AlPO系ミクロ多孔体結晶の破壊過程の分子シミュレーション
山野 英雄近江 靖則久保 百司Rajappan Vetrivel宮本 明
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1995 年 21 巻 6 号 p. 1140-1146

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抄録

AIPO4を組成とするミクロ多孔体結晶の劣化機構を明らかにするために, 分子動力学 (MD) 法とコンピュータグラフィックスを用いて, AIPO4-5の熱による破壊過程を検討した.MD法により AlPO4-5骨格中の各原子が, 温度の上昇とともに激しく運動し, 最終的には結晶骨格が破壊する現象を再現できた.この時, 骨格中のAl-O結合が, 次々と切断・生成を繰り返しているのに比べ, P-O 結合はほとんど初期状態のままであった. つまり, AlPO4-5 の 破壊過程において, 骨格中のAl-O結合が, P-O結合に比べ容易に切断されることがわかった. AlPO4-5 にはAl原子, P 原子が位置するTサイトは, 1種類しかないのに対し, VPI-5は3種類のTサイトを持つ.そこで, VPI-5の熱による破壊過程を計算し, 異なったTサイトに存在するAl原子とP原子のダイナミックスの相違についても検討した.その結果, T1サイトに位置するAl原子のAl-O結合が, 他のAl-O結合に比べ最も切断され易いことがわかった.

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