1995 年 21 巻 6 号 p. 1154-1160
担持率の異なるニッケル-アルミナ触媒を用い, 二酸化炭素によるメタン改質反応および炭素質析出について検討した.表面ニッケル原子基準のターンオーバー頻度は, ニッケル担持率が増加するにつれて減少した.反応速度をニッケル粒子径に関して整理したところ, 本反応はニッケル-担体の境界面において主として起こっていることが推測された. 触媒活性劣化等の原因となる炭素質析出を, 熱重量分析法により測定した. 炭素質析出はニッケル担持率の低い, すなわちニッケル粒子径が小さい触媒で抑制された. この原因は, ウィスカー状炭素の生成が抑制されるためであると考察した.さらに, 触媒活性と炭素質析出量の相関について検討した.炭素質の析出がニッケル表面を被覆するのに必要な量をはるかに超えた場合でも触媒の活性は若干低下するにとどまった. これら全ての結果は, 改質反応と炭素質析出反応が異なるニッケル表面上で起こっていることを示唆している.