移動層型のコークスガス化炉は, 燃料および合成ガス製造に広く用いられている.本研究では, 二相流の概念を取り入れ, 移動現象論および反応速度論に基づくコークスガス化炉の二次元数学モデルを開発した.本モデルは, ガスおよび固体の連続の式, 運動方程式, 物質収支式, 熱収支式および反応速度式から構成され, 炉内の温度分布, 組成分布および流動状態などが推算可能であり, モデルの妥当性は実炉における測定値との比較によって確認した.
本モデルを用いた数値実験では, 炉内径, ガス化剤の供給量と組成を変化させて数値解析を行い, これらの因子がガス化炉の操業状況に及ぼす影響を明らかにした.また, その結果から, 水冷壁を用いたガス化炉の解析を行う場合には, 炉壁からの熱損失を無視することができないことが示された.