化学工学論文集
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掻面型晶析槽に形成する氷晶層の硬さについて
山崎 浩矢沢 久豊平田 雄志
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1998 年 24 巻 3 号 p. 385-391

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抄録

凍結濃縮装置に使用する掻面型製氷装置の内壁に形成する氷晶層の硬さについてスクレーパーに働く掻き取りトルクをもとに解析を行った.スクレーパーが氷晶層を最初に掻き取る際に生じる初期上昇トルク値はスクレーパーの回転数が高くなるに伴い, また, 氷晶中に取り込まれる溶質濃度が高くなるに伴い減少した.その後, 連続的に掻き取る際のトルク変化は, 2種類のパターンに大別された.水とセファロスポリンCNa (CCNa) 水溶液の場合, 経時的にトルクは増加し, 最終的には掻き取り不能になった.また, 塩化ナトリウム (NaCl), グルコース, イソプロピルアルコール (IPA) 水溶液は経時的なトルク変化はほとんどなく容易に掻き取ることができた.前者は硬い氷 (hard ice) であり, 後者は軟らかい氷 (Soft ice) である.しかしながら, 硬い氷晶層を形成するCCNa溶液にIPAを添加すると氷晶層の硬さは一変し, 脆弱な氷晶層に変化することが確認された.熱分析結果から氷晶層の硬さは氷晶層の組成に起因することが示唆された.

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