化学工学論文集
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ウシ血清アルブミン多層吸着多孔性膜を用いたトリプトファン位キラル分離
小熊 一郎中村 昌則斎藤 恭一杉田 和之清原 恵須郷 高信
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1998 年 24 巻 3 号 p. 458-461

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抄録

放射線グラフト重合法を適用して, ポリエチレン製多孔性中空糸膜にエポキシ基を有するビニルモノマー (グリシジルメタクリレート) をグラフト重合した.引き続き, 膜の孔表面に付与されたグラフト高分子鎖中のエポキシ基をジエチルアミンとの反応によってジエチルアミノ (DEA) 基に変換した.得られた膜にウシ血清アルブミン (BSA) 溶液を透過させることによって, BSAをイオン交換作用により多層で吸着固定した.その結果, 最大で単層吸着量の約6倍までBSAが積層した.BSA多層吸着多孔性膜を固定相とし, Tris-HCl緩衝液を移動相としてDL-トリプトファン (Trp) を注入した.BSAの積層数が大きい膜ほど, D-Trpに対するL-Trpの保持時間位比で定義される分離係数は増加した.また, リガンドであるBSAへのTrp位拡散移動抵抗が無視できるため, 分離係数は流量に依らず一定であった.

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