メタノールはガソリン用添加剤の原料として需要が伸びている.またそれ自身もクリーンな燃料であり, 将来の石油代替燃料としても注目されていることから, 今後位大量需要が予想される.
本研究では, エネルギーの質の指標であるエクセルギーを用いて, メタノール合成システムのエクセルギー消費低減を目的としてシステムの評価を行った.その結果原料であるメタンの水蒸気改質プロセスでエクセルギーの消費量は全体位7割を占め, 効率はシステム内の全プロセスの中で最も低いことが明らかになった.この結果はメタノール合成のためのエクセルギー消費低減には天然ガスの改質プロセスの改善が最も有効であることを示した.さらに現行システムの全エクセルギー消費量は, 直接合成の理論最小エクセルギー消費量のおよそ44倍, 伝統的な水蒸気改質を含む二段階反応システムのおよそ4.5倍に相当し, エクセルギー消費改善の余地を定量的にはじめて明らかにした.