化学工学論文集
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微結晶の付着に伴う塩化ナトリウム結晶内の液胞の形成とその機構
斎藤 昇横田 政晶佐藤 晢久保田 徳昭
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1998 年 24 巻 3 号 p. 486-490

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抄録

フローセル底面に固定した塩化ナトリウム種結晶の成長の様子を光学顕微鏡を用いて観察した.溶液に乗って流れてきた微結晶 (数μm~50μm) が種結晶に付着すると, 種結晶の表面にマクロステップが現れ, それが移動する際に合体し, この合体したマクロステップを後続のマクロステップが追い越すとき液胞が形成された.この液胞の形成は微結晶の付着した結晶面以外の面にも見られた.微結晶付着に伴って生ずる結晶内応力によりある種の転位が発生し, そこから分子レベルのステップが多数発生しそれがバンチングによりマクロステップになると推定した.微結晶の付着に伴う成長速度の一時的増加も見られたが, これも分子レベルのステップ数の増加で説明した.微結晶の付着による液胞の形成は結晶純度の低下に影響する問題であり, 工業的に重要な現象であることを指摘した.

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