1981 年 7 巻 6 号 p. 568-574
多段フラッシュ蒸発式海水淡水化装置におけるpHコントロール法によるスケール防止効果を造水量, 日産100m3, 10段フラッシュ蒸発器を用いて試験検討した.
補給海水に対する硫酸添加量を変えて4回試験した結果, 硫酸添加量110ppmにて補給海水を脱炭酸処理すれば, 循環ブラインのpHは7.2に制御でき, アルカリスケールの析出はほぼ完全に防止できた.またブライン最高・温度を120℃, ブライン濃縮比を2.0に押さえることにより硫酸カルシウムスケールの析出も抑止した。
ブライン中での炭酸物質の反応速度を考慮して, 循環ブライン中のスケール成分の物質収支を計算するプログラムを開発した.また実験値と計算値の比較から炭酸カルシウムの過飽和性に関する知見を得た.