逆浸透法で馬鈴薯汁液を処理する場合, 汁液の腐敗は処理性能に重大な影響を与える. このため, 腐敗汁液が処理性能および膜面汚染に及ぼす影響とその原因について検討した.
実験は馬鈴薯から汁液を調製し, アセチルセルロース膜 (NaCl除去率95%) のチューブラ形逆浸透装置を用いて行った.
腐敗汁液を逆浸透処理すると, 1) 膜面汚染の増大, 2) 透過水流束の低下, 3) 除去率の低下, があり逆浸透処理性能は重大な影響を受ける.
これらの原因を検討し, 以下を明らかにした.
1) 膜面汚染は等電点とその近傍pHで汁液中の蛋白質が凝固し, 膜面に付着するために起こる, 2) 腐敗によりpH=5~6に等電点をもつアミノ酸類が選択的に消費され, 汁液はpHによらず蛋白質が凝固する状態となり膜面汚染は進行する, 3) 透過水流束の低下は膜面汚染の増大と, 汁液の粘性係数増大による, 4) 除去率の低下は腐敗により酢酸が生成し汁液のpHを低下させ, その結果, 酢酸の非解離成分が増大するためである.