化学工学論文集
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逆浸透法による蒸留法代替の可能性の検討
稀薄エチルアルコール-水系
大矢 晴彦
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1983 年 9 巻 2 号 p. 154-158

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抄録

前報で提出したエチルアルコール-水系の逆浸透透過機構モデルに基づき, 逆浸透法による稀薄エチルアルコール水溶液濃縮の際に必要なエネルギーおよび膜面積の算出を行った. また, 蒸留法によって同様の濃縮を行う際に必要な熱量を, 最少還流比, 沸点液フィードの条件下で行った.
濃縮されたエチルアルコール1kgあたり濃縮に要するエネルギーは, 到達濃度にはあまり関係なく, 初期濃度にほぼ反比例する. たとえば, 6MPaの圧力下で, 濃度分極がない場合, 15wt%まで濃縮するに要するエネルギーは, 初期濃度0.5, 1, 2wt%, それぞれに対し, 0.5, 0.25, 0.125kWh/kg EtOH retainedとなる.
所要膜面積は, 操作圧力にほぼ反比例して減少する. たとえば, 0.5~15wt%まで濃縮する際, 濃度分極がなければ, 操作圧力6, 8, 10MPaに対し, それぞれ, 0.62, 0.37, 0.26mm2/ (kg EtOH/day) となる.
しかし, エチルアルコールの残留率は, それほどよくなく, 0.5~10wt%まで濃縮する場合に, 10MPa, 濃度分極なしの条件で, 85%となる.

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