1983 年 9 巻 2 号 p. 176-182
大型実用流動層の性能を定量的に推定するために, 気泡分布と粒子循環の直接シミュレータを作成した. モデルの理論的基礎は既に確立している2気泡の合体理論によった. 2個以上の他気泡と相互干渉している気泡の速度は, 2気泡理論から得られる個々の干渉効果を重ね合わせて推算する. 分散板設計が気泡の挙動に及ぼす効果を評価するために, 本シミュレータは各種の分散板に適用できるようにしてある.
計算された気泡群挙動の時間平均値を1m×1mおよび1.2m×1.2mの実験用流動層のデータと比較した. 低層高の場合, 粒子循環が気泡の挙動に及ぼす効果を特に考慮しなくても, 実測値との間によい一致が得られた. しかし, 層高が層の横幅をこえる場合には, 粒子循環効果を考慮する必要がある. 粒子循環の情報を用いて単一気泡の上昇速度を補正する式を提出した. この補正により層が深い場合にもよい一致が得られた.