1983 年 9 巻 2 号 p. 195-202
これまでに提案されているプロセスシステムの設計余裕の決定法は, 数値計算に依存しており, 設計余裕に関する本質的理解を得るのに不充分である. ここに提案する方法は, 高松らの感度解析法に基づき線形計画問題 (IP) として定式化した最適設計余裕問題を基礎とし, LPの解析的手法を適用し, 問題の本質的理解を得るものである. ここで適用するLPの解析的手法は新しく開発した一般性をもつものであり工学的価値は極めて高い. また提案する方法の有効性を示すため, 例題としてリサイクルを含む反応分離システムを取り上げ解析を行い, 最適解空間図の解析的検討により数値計算では得ることのできない, 1) 実行不可能な変数組の提示, 2) 最適解とはなりえない変数組の提示, 3) 設計余裕の反応器および分離器間での配分とその変化の提示, を可能とした.