2000 年 48 巻 9 号 p. 560-563
筆者らは電気分極(ポーリング)によるバイオセラミックスの高活性化と新規バイオマテリアルの創製を試みてきた。その過程で, ポーリングによりセラミックスの表面に形成される電荷層が, 表面近傍に存在するイオンや細胞などに及ぼす驚異的な静電作用を見い出した。これをエレクトロベクトル効果と呼ぶ。本稿では最近の研究成果に基づき, ポーリングセラミックス表面における擬似体液からの骨類似結晶の析出と, 細胞挙動を例にとり, エレクトロベクトル効果の有効性と基本概念について紹介する。