化学と教育
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計算機と化学 : ナノスケール世界における計算と実験の融合(計算機と化学 1)
三上 益弘
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2002 年 50 巻 7 号 p. 522-525

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抄録

化学の研究・教育に携わる研究者・教育者は, 普段から計算機をたくさん利用していることと思う。それは論文や教材の作成のために, 文書ソフトやグラフィックスソフトを使うためであったり, 化学反応や分子構造のデータベースを利用するためであったりと様々あると思う。これらの研究・教育支援の利用に付け加えて, 計算機がないと化学の研究ができない研究分野がある。それは計算化学という学問分野である。この学問分野は, その時代時代でのもっとも高速な計算機をその計算のために利用してきた。例えば, 原子・分子の電子状態を計算するハートリフォック近似に基づいたシュレディンガー方程式の数値解法である分子軌道法計算や統計力学の数値解法である分子動力学・モンテカルロシミュレーションなどである。計算化学と計算機の関係は古く, 計算化学は, 初期からの計算機ユーザであると言ってもよい。本稿では, 計算化学の一つである分子シミュレーションを中心に, 計算機と化学の関わり合いの歴史と現状, そして今後について解説する。

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© 2002 公益社団法人 日本化学会
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