化学と教育
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人工核酸を使ってDNAの機能を調べる・拡張する : エリック・クール教授の研究から(ヘッドライン:人工DNA)
渡邊 総一郎
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2005 年 53 巻 1 号 p. 16-19

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抄録
DNAの核酸塩基部分を,大きさは同じだが水素結合しない類似体に変えると,二重らせん構造の安定性および塩基対形成の選択性は低下する。一方,DNAポリメラーゼによる複製は,塩基間の水素結合の有無にはあまり影響をうけない。これは,DNAポリメラーゼが水素結合より,核酸塩基の形や大きさなどの立体的特徴を認識して機能しているからだと言える。また,水素結合する部分を残しつつ,サイズを天然の核酸より一回り大きくした人工核酸は,天然のDNAと同様にニ重らせん構造をとることも分かった。このxDNAを用いると,天然には4つしかない遺伝情報を記述する「文字」を拡張することも可能かもしれない。
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© 2005 公益社団法人 日本化学会
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